名古屋工業大学図書館報「@Library」

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元気をくれるもの

皆さんはこの半年あまり、どのように本と接してこられたでしょうか。
ご自身の本棚から、懐かしい一冊との再会を楽しんだ人、本を読むことの喜びを
新たに知った人、初めての電子ブックに親しんだ人など、さまざまだと思います。
思う存分読書に浸った人もいれば、全く本を読む気になれなかった人もいる
でしょう。

私自身、読書量は多くなかったものの、読むということで言えば、新聞には
以前から、毎日決まって目を通しています。
 
朝食を済ませると、新聞を開きます。我が家では中日新聞を購読しているの
ですが、楽しみにしているコーナーや連載も、いくつもあります。なかでも、
一二を争うくらいお気に入りなのが、「おたまじゃくし」というコーナーです。
新聞の中ほどにある県内版の紙面の、まさにその題字の下にある小さな欄で、
おじいさん、おばあさんや両親などとの家族の会話の中で生まれた、小さい
人たちの愉快な発言が、簡単なシチュエーションの説明とともに紹介されて
います。
 
子どもたちの言葉はまっすぐで、豊かで、ときに手厳しかったり。かわいらしい
発言に思わずくすっとなったり、独特な感性に唸らされたり、世の中の様子を
反映した言葉などを目にすると、子どもたちなりにいろいろなことを受け止めて
いるんだなあと、なんとも言えない気分になったりもします。
 
発言のおもしろさだけでなく、子どもたちからこうした言葉が飛び出す家庭の
情景、何気ない家族の日常のひとコマが、この小さな欄から垣間見られて、
なんともやさしい、あたたかい気持ちになります。そして、今のような状況でも
変わることのない人の営みに、「よかった」とつぶやきたくなるようなうれしさと
安心を覚えます。
このコーナーを読むと、顔も心もほころんでしまいます。
 
新聞には、社会の動きやそれに伴ういろいろな人の意見や考え、それにさまざまな
情報だけでなく、暮らしや人生、人の思いや願いがつまっているという思いを、
このところより濃くしたような気がします。
 
生活が変わり、ニューノーマルなどということも言われるようになりましたが、
新しく取り入れられたもの、あるいはしなくなったことなど、「変化」にばかり
目が行きがちだったけれど、この変化の中にあって私を支えてきたのは、
変わらないものの存在だったのかもしれない。半年という節目にふと、そんな
ことを思いました。

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