名古屋工業大学図書館報「@Library」

「@Library」は、名古屋工業大学図書館のブログ版図書館報です。詳細は、http://profile.hatena.ne.jp/nitlib/ をご覧ください。

そうだ 平等院へ行こう

先日、平等院に行ってきました。

平等院と言えば、平等院鳳凰堂が有名ですね。身近なところでは、10円玉と旧1万円札でしょうか。

平等院は京都府宇治市にある藤原氏ゆかりの寺院です。

平安時代に建立された阿弥陀堂で、藤原道長の別荘である「宇治殿」を、その子頼通が1052年に寺院に改め、「平等院」となりました。建物全体が鳳凰が羽を広げたような形状であることと、屋上に銅製の鳳凰があるところから、鳳凰堂と呼ばれています。そのもっとも大きな特徴は、池の中島に建てられていることです。

当時、天災人災の不安から浄土信仰が流行し、極楽往生を願って建てられた鳳凰堂は、左右の翼廊、背面の尾廊、阿弥陀如来像が安置されている中堂からなり、現世の極楽浄土として捉えられました。中堂は、入母屋造の本瓦葺きで、正面中央間は屋根を一段高く切り上げて、外観に変化をもたせるとともに、池の対岸から阿弥陀如来像を拝めるように設計されています。

鳳凰堂の中に阿弥陀如来像が安置されているって知っていましたか?

この阿弥陀如来像は、日本の仏像作家を代表する仏師・定朝(じょうちょう)の作品で、現存する唯一確実な像といわれています。

日本独自の寄木造りの坐像で、仏像彫刻の理想像として美しさを讃えられています。

阿弥陀如来像は木造とは思えないほど、繊細で、当時の技術の素晴らしさが感じられます。戦火を逃れ現代に存在しているとは・・・圧巻です。額に水晶が埋め込まれているので、これも必見です。

阿弥陀如来坐像の真上にかかる天蓋(てんがい)は、箱型の「方蓋」と、内側の「円蓋」の豪華な二重構造になっており、他に例がない珍しいものです。

木造の上に金箔が貼られていて、当時の、豪華さがうかがえます。

お堂の内部の壁と扉には「九品来迎図(くほんらいこうず)」、阿弥陀仏の背後の壁には「極楽浄土図」が描かれ、左右の壁の上部には52体の「雲中供養菩薩像」が懸けられています。

約1000年前に建てられた建物や仏像が、時代を超えて現代の人々をも魅了しているというのは、とても素晴らしいことだと思います。

近くには、源氏物語ミュージアムや宇治神社、世界文化遺産に登録されている宇治上神社もあります。

抹茶グルメなど、散策スポットもたくさんあります。

京都市内もいいですが、平安時代にタイムスリップできる宇治もおすすめです。

 

ボドゲ!!

図書館関係の雑誌で最近よくボードゲームに関する記事を見かけます。
図書館で貸出しをしたり、図書館が主催の大会が開かれたり、
利用者同士の交流の場として提供しているようです。

ボードゲーム自体、ここ数年で専門のカフェが増え、
おもちゃ屋だけでなく、本屋、雑貨屋などでも種類豊富に販売されるようになり
その人気ぶりがうかがえます。

おしゃれな外国製のものが流行りのようですが
ボードゲームとは、もともとはボードを使用するゲームのみだったのが、
現在では幅広く電気を使用しないアナログなゲーム全般を指すらしく、
古くは百人一首や花札なんかもボードゲームと呼んで良さそうです。

自分が子供のころ週末の夜は家族でオセロやドンジャラ、
お正月は親戚が集まって人生ゲームやかるた、修学旅行ではトランプにUNO、
雨の日は友達と手作りのすごろくを作ったりして遊んだ記憶があり全て良い思い出です。
(25や棒消し、〇×なども放課中によくやりましたが、これらも広義で言えばボードゲームでしょうか。)

ゲーム機やスマホ全盛の現代の子供はあまり遊ばないのかなと思いきや、
トレーディングカードゲームは根強い人気です。
オンラインのゲームでも他の人と一緒にプレイすることはできますが、
やっぱり直接表情を見ながら対戦できるのは楽しいのでしょう。
相手の顔色で劣勢か有利か判断したり、これを言ったら嫌がらないかな、と考えて話したり、小さい子にはハンデをつけてあげるなど、自然とコミュニケーション能力も鍛えられそうです。

社会人になると、対面で集まるのは難しいですし、
久しぶりに友人と会ってもなかなか「ゲームやろう」とはなりません。
時間のある学生時代ぜひ仲間でやってみてください。結構盛り上がりますよ。

 

学生の「おすすめ図書」

自分の中に毒を持て   あなたは“常識人間"を捨てられるか. [新装版]

 岡本太郎著 青春出版社, 2002.2

 請求記号:159||O 42   図書ID:1286808

「太陽の塔」で有名な岡本太郎さんの著書です。「好かれるヤツほどダメになる」や「成功は失敗のもと」など、価値観をひっくりかえされる意見が多くあります。「こっちに行ったら駄目だ、と思う方に賭ける。」など自分の生き方について考えさせられます。内容だけでなく、文章表現も魅力的です。毎日楽しいけれど、何かもやもやする人、進路に悩む就活生などにおすすめです。
                            (生命・応用化学系プログラム)
 

 

 

 

 

 

 

教職員の「おすすめ図書」

大幸 裕介 先生

(生命・応用化学類 /環境セラミックス/ 准教授)

思考は現実化する  アクション・マニュアル、索引つき

ナポレオン・ヒル著 ; 田中孝顕訳 きこ書房, 1999.4

請求記号:159||H 58 図書ID:1305328 

本を全く読まない若い人が最近増えており,一説には16歳以上の6割以上が「月に1冊も本を読まない」のだそうです。ある一冊の本との出会いがその後の人生を変えることもあることを知って欲しいです。この本は世界の鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの依頼のもと著者のナポレオン・ヒルが「万人に共通する成功哲学」として体系化しもので,まさに思考が”現実化する”道筋を丁寧に解き明かしています。自己啓発本としては古いものですが,マンガ版もあるので学生時代にぜひ本書などに触れて夢や願望とそれを叶える,とはどういうことか考えて頂きたいと願っています。

学生スタッフによる展示「〇〇したい人・〇〇な人に読んでほしい本」

図書館は皆さんの勉強や研究に必要な資料を中心に所蔵していますが、それだけではなく、人生の知恵や社会の知識、あるいは趣味興味に関する図書も多数あります。普段は気が付かないようないろいろな図書があることをアピールするため、図書館で働く学生スタッフが「〇〇したい人・〇〇な人に読んでほしい本」という切り口で図書を紹介いたします。

皆さんの心にヒットする本があるかもしれません。新着図書コーナー横の展示机で展示していますので、ぜひご覧ください。

 

ドストエフスキーの作品で思いつくことあれこれ

今年11月から名工大図書館一階にオープンアクセス※1に関するコーナーが設けられています(画像1参照)。

 

※1論文のオープンアクセス化とは、査読付きの学術雑誌等に掲載された論文を誰でもインターネットから時間や場所の制約なく無料でアクセスし入手できるようにすること(日本学術振興会「科学研究費助成事業」より)

 画像1:オープンアクセスに関するコーナー      画像2:学術論文雑誌をオープンアクセスにする方法

査読論文をオープンアクセスにすることで利用者はジャーナルを無料で利用することができますが、著者は出版社にAPCを支払います(画像2参照)

出版社のAPCによる収入がなければジャーナルの維持管理のために利用者が購読料を支払います。

ジャーナルの購読料は年々、高騰し研究環境によっては支払うことが難しくなってきています。

価格高騰の要因は「商業出版社の学術雑誌寡占化」によるものでした。

こんな状況をブレイクスルーしたいと「インターネットに繋げられれば対価なく論文が読める環境へ」が1990年代より、世界の関係団体等から提唱されるようになりました。

 

論文といえば・・・・

最近、ドストエフスキーの「罪と罰」をリビングで読み始め気になる幾つかの単語に出会いました。

「罪と罰」には“論文”というワードが何回か登場しストーリーを支える軸の一本となっています。そこには主人公の投稿した論文が定期刊行物に掲載されているから原稿料が入るはずだという行(くだり)があります。

定期刊行物を購入する読者がいるため著者は支払いの負担がなく原稿料までもが支払われるのです。

時代背景や論文の形態等が異なるので比較は難しいのですが“論文”の文字に遭遇するたびに冒頭の行が頭をよぎり続けました。

 

さらに「罪と罰」で“論文”以上に登場する回数が多いのは生き物に関する単語で馬車の“馬”のような現実的な動物から“二兎を追うものは一兎をも得ず”のような諺や比喩によるものなどがあります。

そこで諺や比喩は翻訳者によって翻訳内容にどのくらい違いがあるのだろうかと気になる部分を比較してみることにしました。

最初に目についた“月とスッポン”で2出版社による比較を試みると新潮文庫の工藤精一郎氏訳(名古屋工業大学図書館所蔵)では“月とスッポン”が文中に登場しましたが青空文庫<Master Copy角川文庫>米川正夫氏の訳には登場しませんでした。

原文(露文)では何と綴られているのだろうと手近なところにあったスマートフォンで検索してみたところ原文どころか“月とスッポン”に関する記述にすら辿り着くことができませんでした。

図書館での現物による調査や検索エンジンの変更、有料誌で探せばどこかにあったかもしれませんが「罪と罰」の続きが気になったので検索は一旦、ここで終了することにしました。

 

罪と罰をさらに読み進めていくと“蜘蛛”が登場してきました。

今度は芥川龍之介の “蜘蛛の糸”とドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」のなかで語られる挿話“一本の葱”が似ているのも気になりだしました。

どちらも地獄に堕ちた者の小さな善行を過大評価することで救済措置がとられるが・・・という物語

これらはポール・ケーラス(Paul Carus)の『カルマ(Karma)』のなかの一編に由来するといわれています。

 

こちらも早速、スマートフォンで検索してみると諫早勇一教授による「カラマーゾフの兄弟」のなかの“一本の葱”の翻訳について原文と翻訳者らによる違い等に触れている興味深い考察に出会いました。

『なお,参考までに米川正夫氏以外による当該個所の邦訳をいくらか引くと、

原久一郎氏(新潮文庫)「みんなこぞってその葱にしがみついた」

中山省三郎氏(角川文庫)「みんなでその葱につかまりだしたの」

小沼文彦氏(筑摩版全集)「みんなしてそのお葱につかまりはじめたのです」

北垣信行氏(講談社文庫)「みんなしてその女にしがみついて」

池田健太郎氏(中央公論,世界の文学)「我も我もとお婆さんにつかまりだしたの」

原卓也氏(新潮,世界文学)「みんなして女にしがみついたんですって」

江川卓氏(集英社版,世界文学全集)「みんなしてお婆さんにつかまりました」』

(諫早勇一 "The onion broke"―『蜘蛛の糸』と『カラマーゾフの兄弟』をめぐる若干の考察. 信州大学機関リポジトリ, 1985, P.5)

 

ここで利用した機関リポジトリについては内閣府科学技術・イノベーション推進事務局発表の「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」により2025年度から大きな変化を迎えます。(画像3参照)(画像4参照)

画像3:学術論文等の即時オープンアクセス義務化        画像4:国としてのオープンアクセスの方針

インターネット環境が整っていればオープンアクセスは無償で全世界の人に論文を読んでもらうことができます。

災害や深刻な疫病の研究においても迅速な情報共有が可能になり、論文が引用される可能性が高まる等多くのメリットが期待できる有益なシステムです(画像5参照)

 

 

 

 

 

 

画像5:オープンアクセス(OA : Open Access)   画像6:名古屋工業大学オープンアクセスポリシー

 リポジトリへの登録が加速化されることによる問題発生も懸念されますが、リビングで気軽に検索したワードでも興味深い研究成果へと結び付けてくれる可能性も高まります。

 

今後、リポジトリへの論文等の登録が加速化されます。

気軽にリポジトリをのぞいてみてはいかがでしょうか。

 

名古屋工業大学学術機関リポジトリ

https://nitech.repo.nii.ac.jp/ 

「機械式計算機」の展示

入館ゲート正面の展示スペースで「機械式計算機」の展示を行っています。
数学の平澤美可三先生からタイガー社製計算機(1950年代)2台をお借りしました。1台は本体カバーがはずしてあり、内部機構を見ることができます。

 

機械式計算機は、電卓が発売されるまでの間、多くの研究者や技術者に使用されました。日本では「虎印計算器」(後のタイガー計算器)の製品が広く使われました。

今回お借りしている計算機は完動品ですので、実際に動かしていただける機会を設ける予定です。(※通常はハンドルが動かないように固定しています)

手回し計算器タイプで、ハンドルを操作すると内部の歯車が複雑な動きをします。貴重な機会ですのでぜひ見ていただきたいです。

 

関連図書

機械式計算機 : その魅力と修復の実際

    渡邉祐三著 オフィスHANS, 2010.5

 請求記号:535.5||W 46 図書ID:131256

実物でたどるコンピュータの歴史 : 石ころからリンゴへ

    竹内伸著 ; 東京理科大学出版センター編  東京書籍, 2012.8

 請求記号:548.2||Ta 67  図書ID:1319572