名古屋工業大学図書館報「@Library」

「@Library」は、名古屋工業大学図書館のブログ版図書館報です。詳細は、http://profile.hatena.ne.jp/nitlib/ をご覧ください。

データベース『化学書資料館』を使ってみよう!

名工大では『化学書資料館』というデータベースを導入しています。
『実験化学講座』『化学便覧』など日本化学会の編集による専門書・便覧・辞典がオンラインで利用できます。
冊子版にはない情報や絶版になった古典的・基礎的資料も収載されています。
実験やレポートの参考資料としての利用はもちろん、直接関係のない分野、という方も他分野に触れることで自らの学問分野で思わぬ発見があるかもしれません。

 科学書資料館

📚利用開始!
図書館HP>データベースを使う>化学・物理学>化学書資料館
URL:https://www.chem-reference.com/

 ※学外環境から利用する場合、EZproxy経由によりご利用ください。
  図書館HP>学内の方>リモートアクセス>1.EZproxy経由「EZproxyへログイン」>基盤IDとPWで認証>化学書資料館
→注意を促すメッセージが出たら「詳細設定」をクリックし、続行してください。

📚収録タイトル

『化学便覧 基礎編』

  https://www.chem-reference.com/searchmain.php?button=13

   ・化合物検索 https://www.chem-reference.com/searchmain.php?button=2

『化学便覧 応用科学編』

  https://www.chem-reference.com/searchmain.php?button=15

『実験化学講座』

  https://www.chem-reference.com/searchmain.php?button=14

『標準化学用語辞典』

  https://www.chem-reference.com/searchmain.php?button=1


📚使い方ガイド https://www.chem-reference.com/guide/index.html

おもな機能

★タイトル別検索:収録タイトル別にキーワード検索できる!
★横断検索検索:TOP画面から収録タイトル全てに対して一括検索ができる!
★化合物検索:化合物名や組成式、分子量などから化合物検索ができる!

 

-----------------展示案内---------------------
図書館では現在展示を行っています!

長時間の利用はお控えいただいておりますので「ごゆっくり」と言えず残念ですが、資料利用でご来館された時に少し足を止めていただけますと幸いです。

ノーベル賞受賞関連資料(図書館1階入口ゲート入ってすぐ)

ノーベル賞受賞関連資料

 

ブルーバックス(図書館1階新着図書紹介コーナー横)

ブルーバックス


オライリー(図書館1階カウンター正面)

 オライリー

 

バランス

  今や電子機器が全世代に浸透していますが、その昔、努力と根性でひたむきに頑張る精神がもてはやされたアナログ時代がありました。その美学に励まされて(ある意味あおられて)育った人々が、軽いタッチで検索・選択して進む今の社会に、多少の不安を感じたとしても不思議ではありません。
 
 例えば、アジアのとある歴史家は、言語と文化と時代の壁を乗り越えて膨大な量の古い書物や資料にあたり、インタビュイーとは信頼関係を築き、彼らのプライバシーと社会的な弱さにも配慮しつつ対話し、綿密に出来事の裏付けをとるという作業を積み重ねています。それは単に過去を記録するためではなく、人間性の追求であり、社会を読み解き、未来へ向けた提言とも言えます。歴史が好きな人でなくとも、歴史家のその姿勢には心動かされるものがあります。
 
    生活の中で物事を効率的にし、手軽にし、わかりやすくすることは始終求められることですが、それらは常に良いわけではありません。少なくとも、「効率的で、手軽で、わかりやすい」ことに慣れて甘んじてしまっては、突然現れる非日常の事象に対して十分対応できません。時間や手間を掛けることに背を向けていては本質を捉えきれないからです。
 
 意識の持ち方次第で、育つ感性が変わってきます。食べ過ぎたら太り、偏れば病気になる食事と同様に、青年期の読書にはバランスが必要です。それはいろいろなジャンルをという意味ではなく、自分の生き方を整える意味を込めたバランスです。面倒を承知で、いつもより少し厚めの本を手に取ってみませんか。借りるには重い本も電子ブックなら大丈夫!秋の夜長に良い本との出会いがありますように。
 

読書の秋

 

2020年度「学生Web選書ツアー」の参加者募集中!

毎年、図書館では「学生選書ツアー」を実施しています。
学生選書ツアーは、書店で直接図書館に置きたい本を選ぶイベントです。
しかし、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、残念ながら今年度は開催が難しい状況です。
そこで、「Web選書ツアー」という形で実施することになりました!
図書館に置いてほしいと思う本、学習・研究に使いたい本、
授業や学生生活に役立ちそうな本、学生の皆さんにオススメの本など、
Web選書ツアーで選んでみませんか。

現在、参加者募集中です。
詳しくは、学生ポータルの掲示や図書館ウェブサイトをご覧ください。
ご応募お待ちしています!
 →募集は終了しました。
 

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元気をくれるもの

皆さんはこの半年あまり、どのように本と接してこられたでしょうか。
ご自身の本棚から、懐かしい一冊との再会を楽しんだ人、本を読むことの喜びを
新たに知った人、初めての電子ブックに親しんだ人など、さまざまだと思います。
思う存分読書に浸った人もいれば、全く本を読む気になれなかった人もいる
でしょう。

私自身、読書量は多くなかったものの、読むということで言えば、新聞には
以前から、毎日決まって目を通しています。
 
朝食を済ませると、新聞を開きます。我が家では中日新聞を購読しているの
ですが、楽しみにしているコーナーや連載も、いくつもあります。なかでも、
一二を争うくらいお気に入りなのが、「おたまじゃくし」というコーナーです。
新聞の中ほどにある県内版の紙面の、まさにその題字の下にある小さな欄で、
おじいさん、おばあさんや両親などとの家族の会話の中で生まれた、小さい
人たちの愉快な発言が、簡単なシチュエーションの説明とともに紹介されて
います。
 
子どもたちの言葉はまっすぐで、豊かで、ときに手厳しかったり。かわいらしい
発言に思わずくすっとなったり、独特な感性に唸らされたり、世の中の様子を
反映した言葉などを目にすると、子どもたちなりにいろいろなことを受け止めて
いるんだなあと、なんとも言えない気分になったりもします。
 
発言のおもしろさだけでなく、子どもたちからこうした言葉が飛び出す家庭の
情景、何気ない家族の日常のひとコマが、この小さな欄から垣間見られて、
なんともやさしい、あたたかい気持ちになります。そして、今のような状況でも
変わることのない人の営みに、「よかった」とつぶやきたくなるようなうれしさと
安心を覚えます。
このコーナーを読むと、顔も心もほころんでしまいます。
 
新聞には、社会の動きやそれに伴ういろいろな人の意見や考え、それにさまざまな
情報だけでなく、暮らしや人生、人の思いや願いがつまっているという思いを、
このところより濃くしたような気がします。
 
生活が変わり、ニューノーマルなどということも言われるようになりましたが、
新しく取り入れられたもの、あるいはしなくなったことなど、「変化」にばかり
目が行きがちだったけれど、この変化の中にあって私を支えてきたのは、
変わらないものの存在だったのかもしれない。半年という節目にふと、そんな
ことを思いました。

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まずは辞書から

「○○について、××という視点から論ぜよ」
えーっ・・・
授業で出された課題のテーマがあまりに壮大すぎて立ちすくんだ経験のある方、いませんか。
「茶道の歴史を系統的にまとめて発表」という演習のお題目をもらった当時大学2年生の私は、立ちすくむを通り越して体が硬直する思いをしました。闇雲に文献を集めてみるも、もがけばもがくほど収拾がつかなくなるばかり。発表は、手元に抱えた資料の切れ端を無秩序に並べただけの、酷いものでした。
茶華道を始めとした日本文化研究を牽引する存在でもあった恩師。これから浴びせられるであろう叱責に怯えて目も上げられずにいた私へ、「大変だったねご苦労さま」という労いと共にかけてくれたのは、こんな言葉でした。
「研究を生け花に例えると、その美しさは手元に集めた花材をよく見て削ぎ落としていくところにあります。花材を集める時に大事なのが、その順番です。まずは辞書から。前提知識がないときは俯瞰的な百科事典から始めて、言葉の意味や基本文献をきちんと押さえることで、全体が見えてきます」
あれから20年以上経ちますが、今も折に触れてこのフレーズを記憶から引きだしています。
そして、そんな私から名工大に所属する皆さんに「Japan Knowledge Lib」をご紹介したいと思います。

http://japanknowledge.com/library/


日本大百科全書など定評のある百科事典の
ほか、専門分野の事典類や叢書類も検索できます。Wikipediaと異なり、出版社が責任を持って編集をしたタイトルが収録されています。リモートアクセスで自宅からでも時間を問わず使えるというメリットもあります。
先日、物理学者の寺田寅彦をこのツールで調べました。随筆家としても知られている彼を検索すると、多くの辞書にその生涯や執筆作、彼に関する研究書といった参考文献が記載されていました。興味は尽きなくなり、更に検索ボックスのプルダウンを「見出し」から「全文」に変えて検索してみると、東洋文庫に所収された意外な文献の1ページにもその名前があることを発見。彼のような有名人・もしくは事柄でない場合でも、糸口をつかむきっかけになることを確認したところです。
今キャンパス生活を送る学生さん、立ちすくんだ時には、ふとこのコラムを思い出してもらえたらと願います。

 恩師の影響もあって大学卒業後に始めた茶道を、現在まで細々と続けています。稽古場は今年3月まで居住していた東京にあり、4月以降も通う予定だったのですが、コロナ禍で思わぬ足止めを食らっています。写真の棗はお気に入りの茶道具の一つで、今はこのフォルムの美しさに癒されながら、自宅でひっそりお茶を点てています。

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「会う」よろこび

展覧会が好きで、年に数回、国内の美術展に足を運びます。

本物に会いに、現地の美術館を訪れることも楽しみのひとつでした。

何といっても今年は、3月上旬からの国立西洋美術館(東京・上野公園)にて開催の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の開幕を心待ちにしていました。早速、春に予定していたのですが、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、開幕が延期となり、残念ながら一度、断念しました。

 そんな中、原田マハさんのアート小説がお気に入りです。小説は、いつも美しい映像作品を鑑賞した後のような気分にさせてくれます。

名工大図書館にも2冊所蔵があります。

『楽園のカンヴァス』は、有名なアートミステリーです。ルソー好きな人には、特に面白いのではないでしょうか。小説を通して、絵のことをもっと知りたくなりました。その直後に訪れた「エルミタージュ美術館」では、レンブラントやピカソ、マティスなどの作品の数々に、いつもは味わったことのない圧倒されるようなオーラを感じたことを覚えています。アートの見方が少し広がったように思います。

もう1冊所蔵している『たゆたえども沈まず』は、表紙の糸杉を見ると、昨年の上野の森美術館での「ゴッホ展」が甦ります。人気の天才画家ゴッホですので、観に行かれた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか…。

私は、本物の糸杉の前に立ったら、しばらく動けなくなりました。ただただ嬉しくて。どれだけ眺めていても飽きることがなかったです。

どんなに映像表現技術が高度化し、最先端の科学技術が登場しても、いまだに人を幸福にするのは、「会う」よろこびなのだと思います。コロナ禍で海外旅行が叶わない今ですが、早く人々が自由に移動できるようになりますように。今は、たゆたえども沈まずに、少しでも事態が良い方向に向かっていることを願います。

 

楽園のカンヴァス

原田マハ 新潮社 2012.1

請求記号:913.6||H 32 図書ID:1322732

たゆたえども沈まず

原田マハ 幻冬舎 2017.10

請求記号:913.6||H 32 図書ID:1333471

 

**アート関連**

レンブラントとイタリア・ルネサンス

ケネス・クラーク 法政大学出版局 1992.5

請求記号:723.35||C 74 図書ID:1232387

ピカソ偽りの伝説

アリアーナ・S・ハフィントン著 ; 高橋早苗訳 草思社, 1991.6

請求記号:723.35||C 74 図書ID:上:1229607 下:1229608

ゴッホ:闘う画家 

木下長宏 六曜社 2002.2 

請求記号:723.359||Ki 46 図書ID:1307559

ゴッホの遺言 : 贋作に隠された自殺の真相 

小林英樹 情報センター出版局 1999.4

請求記号:723.359||Ko Ko12 図書ID:1277721

エルミタージュへの招待

北洞孝雄文 ; 後山一朗写真 北海道新聞社, 1987.6

請求記号:706.9||Ki 64 図書ID:1199929

 

 

教職員の「おすすめ図書」

松野 美海先生
留学生センター・基礎教育類/准教授
 
小林隆・澤村美幸 岩波書店 2014
請求記号:818||Ko 12 図書ID:6011999
 

ある人の話の進め方が、個性ではなく、方言かも…と考えたことはあるでしょうか。本書はあいさつ、話の展開の仕方、感情を言葉にするかなど、個性の反映だと考えられてきたり、注目されてこなかったりしたことが、実は方言によって異なるということを、具体的なデータを示して主張するものです。さらにそのような地域差が生まれた社会的要因の考察も行われます。自分が思う「当たり前」はそれほど「当たり前」ではないことに、言葉をきっかけに気づかせてくれる図書です。

 

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