【蔵出し本】のはじめに
名古屋工業大学図書館では、約46万件の資料を所蔵しています。
平成21年度には古い資料の遡及(そきゅう:さかのぼる)入力が終了し、
図書館の所蔵資料すべてがOPACで検索できるようになりました。
46万件のうち、みなさんが直接利用できる開架書架にあるものが約9万件。
先生方の研究室にあるものが約8万件。
その他は図書館の地下や別棟の閉架書庫に保管されています。
OPACで検索はできるようになりましたが、なかなか存在の知られない資料があるのも事実。
名工大の長い歴史の中で、様々な"学び"を影で支えてきた資料たちを、
これから少しずつ紹介していこうと思います。
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第1回 『大工雛形』
『大工雛形』 二編 上・下
●請求記号 524.8 || A 43
●所在 図書館閉架
横長の小さな和装本(13×19cm)が2冊。
奥付には嘉永元年彫刻とあるので、明治維新よりもさらに古い。(所蔵の版は明治のもの)
社寺建築の装飾デザイン集です。当時の大工さんが参考に見ていたのかもしれません。
虹梁(こうりょう)や破風(はふ)、懸魚(げぎょ)という文字が読め、
梁や屋根下の装飾が描かれていることがわかります。中には龍や象も。
かつて名工大の学長も務められた城戸久先生(故人)からご寄贈いただいた資料です。
城戸先生は、現在の岐阜城天守閣再建時(昭和31年)にご尽力され、
天守閣の設計を担当されています。
これまでどんな人の手を渡ってきたのか。
古い資料には、関わってきた人のさまざまな思いが染みついているような気がします。
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参考文献
彰国社編.建築大辞典.第2版,彰国社,1993,2090p.
中日新聞岐阜総局編.岐阜城いまむかし.中日新聞本社,1982,231p.