名古屋工業大学図書館報「@Library」

「@Library」は、名古屋工業大学図書館のブログ版図書館報です。詳細は、http://profile.hatena.ne.jp/nitlib/ をご覧ください。

工学エリートの卵たちへ <図書館からのメッセージ>

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附属図書館長 内匠 逸

 

ご入学・ご進学,誠におめでとうございます。大学院後期課程に進学された方々には,博士号の学位を取得するだけでなく,これからの日本,さらには世界を背負うべき人材に育って頂きたいと願っています。また,大学院博士前期課程に進学された方々には,真のエンジニア,研究者として,さらに社会人として自立することを目指して,より一層の研鑽を積んで頂く事を期待しています。そして何より,大学一年生となられた諸君には,教科書から離れて,自ら考え,自らを鍛え,自ら造るという人生の新しいフェーズに入って頂きたい。その上で,自ら育んだ異彩を周囲に知らしめて欲しい,と強く感じています。

大学で指定される教科書は,皆さんにとっては,参考書のひとつに過ぎません。多くの参考書に触れて工学の世界を支えている柱を一本ずつ見極めてください。図書館には,参考書が数多く所蔵されており,皆さんを待っています。また,これらの参考書に刻まれた工学の柱をより太く,より長くするための試行錯誤の過程で生まれた技術論文も多く所蔵されています。その大半は,電子化されてインターネット上での閲覧サービスとして提供されています。無論,無料のサービスではありませんが,名古屋工業大学の学生であることが認証されれば,自宅からでも自由に閲覧できます。この認証は,気づかない間に行われるかも知れませんが,学生証とPIN,基盤IDと基盤パスワードは,いつでも使えるようにしておいてください。学部の4年間の間には,これらの最新の技術論文が理解でき,自分の生き方に役立てることができるような実力を培っていきましょう。 

大学に入学するまでに皆さんが使っていた教科書は,統一的な規格に沿うものだったはずです。さらに,同じテスト,同じ問題,同じ基準で評価されてきました。そのために,周りと同じだと安心だとか,周りと同じ点数だから十分だなどと,画一的な状態を好むような傾向に囚われていませんか。似たような個の集団は,コミュニティー内部での争いは少なくなりますが,他のコミュニティーとの競争には勝てなくなります。これからの世界を背負うべき皆さんに求められるのは,ダイバーシティーです。多様性です。他の人と異なった経験,異なった感覚,異なった意識,異なった表現力を大切に育ててゆきましょう。まずは,自分の周りの人と自分の違いを見つけるところから始めてみませんか。

図書館は,皆さんの情報収集のお手伝いをすることを第一義としています。それに加えて,今年の夏には,隣に新しい講堂とラーニングコモンズができあがります。後者は,クラスメイトや研究室仲間で互いに協力と競争をしながら実力を養うための場所です。図書館もラーニングコモンズも積極的に利用して,自らの価値を高めていってください。

 

図書館内工事中

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現在、図書館内のあちこちで工事や搬入作業を行っており、
ご迷惑をおかけしていますが、ここで利用者の皆様へ
経過報告をさせていただきます。

これまでに、セミナー室の増設工事、メディア室のOAフロア拡張、
北館1階から2階の階段の修繕が完了しました。
現在、新講堂と図書館との接続工事やそれに伴う配線工事が進行して、
研究ブースAとセミナー室Dは閉室となっています。

これからも3月中に、自由閲覧室の椅子クリーニングや、
新セミナー室へ机椅子の搬入、入館ゲートの更新と、
館内の作業を行う予定です。

ちょっとしたことではありますが、いろいろなところで
改善を行っていますので、新学期の始まりに、図書館を訪れて、
その変化を感じてもらえると幸いです。

4月に入っても、隣の新講堂に関係する工事や搬入作業は
まだ続きますが、どうぞご理解の程、よろしくお願いいたします。

また、新講堂の中には、図書館と連結した新しい学習スペースが
誕生します。オープンはもう少し先ですが、楽しみにお待ちください。

修論・博論

3月に卒業するみなさんは、論文も提出し、
学位記授与式を待つばかりかと思います。

提出された論文ですが、修士論文の内、
図書館に置くことに同意された方の分は、
図書館で5年間保存しています。
閲覧したい方は、図書館カウンターにお申込みください。

博士論文は、図書館で、全て保存しています。
(学部の卒論は、図書館で保存していません)

博士論文については、平成25年度から、
インターネットを利用した公表が義務化されました。
本学では、「名古屋工業大学機関リポジトリ」にて、
博士論文の全文を公表しています。
(学術雑誌に投稿中などで、インターネット上での
全文公表ができないものを除きます)

各大学でも機関リポジトリで博士論文の公開を行っていますが、
国立情報学研究所の CiNii Dissertations で、
網羅的に検索することができます。
もちろん、Googleでも検索できます。

学部学生のみなさんも、大学院でどんな研究が行われているか、
本学機関リポジトリでご覧になってみてはいかがでしょう?

 

学生の「おすすめ図書」

f:id:nitlib:20160129140530j:plain(物質工学専攻/博士前期課程2年)

仕事道楽:スタジオジブリの現場

鈴木敏夫著 岩波書店 2014.5
請求記号:778.77||Su 96 図書ID:6008130

目の前のことに集中すること。一つ一つコツコツとやっていくこと。
どんな時でも、何に対しても、大事なのはこれだと思っています。

当たり前のこの事を意識するようになったのは著者の講演がきっかけで、
これを再確認できることが私にとってのこの本の持つ意味ですが、
他にも、著者の生き方や仕事の仕方、ジブリ映画の製作に関わる話を
知ることができ、理系の人間が関わりを持ちにくい世界への縁が
得られる本ではないかと思います。

 

本を選ぶということ

「図書館には新しい本がない。」
こんな言葉を耳にしたことがあります。
確かに、書架にはカバーのない、
ずいぶんと年季の入った本がずらり……。
しかし、皆さんの先輩方が大切に利用してきた本ばかりです。
そしてどの本にも、誰かに選ばれたり寄贈されたりと、
名工大の蔵書となったいきさつがあります。

先月にも、図書館でどんな本を購入するか、選ぶ機会がありました。
世の中には本当にたくさんの本が存在しますし、
正直なところ一冊一冊の本と
じっくり向き合うことはなかなか難しいのですが、
学生さんの力になってくれるだろうか、
図書館にあったら、よく利用されそうだな、
考えるきっかけや新しい世界との出会いになるといいな、
この内容は今押さえておきたいよね、
興味を持つ学生さんがいるんじゃないかな、等々、
今回も感覚と心と頭をフル回転させて、本を選びました。

自分が選んだ本が利用されるのは素直にうれしいですし、
今私たちが選ぶ本が名工大の蔵書として
この先長く利用されていくことを想像すると、責任を感じると同時に、
図書館の歴史を、ほんのささやかな部分ではあるけれど、
積み上げているという、ちょっと誇らしいような気持ちにもなります。

選書した本が皆さんの手に届くのは少し先になりますが、
どんな本が新たに仲間入りするのか、どうぞ心待ちにしていてください。

ブラウジングコーナー

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昨夏行ったブラウジング雑誌アンケートで、
皆さんからたくさんのリクエストをいただきました。
1番多かったのは"漫画"へのリクエストでしたが、
"ファッション誌や趣味の雑誌を増やしてほしい"、
"就活に役立つビジネス誌をよく読む"、
といった幅広いリクエストがありました。
すべての希望に応えることは難しいのですが、
特に希望の多かった分野から、
2016年は新たに6タイトルを購読することになりました。

・Cheek(地域情報)
・mono magazine(モノ情報)
・Ray(ファッション)
・Rockin'on Japan(音楽)
・StreetJack(ファッション)
・サッカーダイジェスト(スポーツ)

ブラウジングコーナーの配架もリニューアルし、
2年分を閲覧できるようにしました。

新しいタイトルもすでに利用できるようになっていますので、
どうぞご利用ください。

教職員のおすすめ図書

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出口 真次先生(共同ナノメディシン科学専攻/准教授)

力学・場の理論―ランダウ=リフシッツ物理学小教程
 L.D. ランダウ・ E.M. リフシッツ 著 東京図書 1976.10
請求記号:423||L 22 図書ID:6008123

「最小作用の原理」に基づいて力学の式をことごとく導いていく
本書の内容に魅了されました。
例えば、高校の物理でニュートンの第三法則として学ぶ
「作用・反作用の法則」。
これは経験則としてそのまま受け入れるだけで、
深く考えたこともなかったのですが、(調べたところ、ウィキペディアにも
経験則とある)それが式として導出できると知って驚く。
物理への見方が変わり、現在の理論物理学の発展状況について
関心をもつきっかけとなりました。
こちらは文庫本のため、電車での通学時間でも読みやすいと思います。