名古屋工業大学図書館報「@Library」

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青の世界を巡ろう

今回は、現在図書館で行っている展示をお勧めしたいと思います。
その前に少しばかり、展示に絡めた私の思い出にお付き合いください。

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「問題に向き合った」経験、皆さん一つ以上はお持ちなのではないでしょうか。
学校で受けたテストもそうですね。小学校の教室机の脇にぶら下げていた?算数ドリルあたりが始まりかもしれません。
ページをクリアする度にやってくるちょっとした爽快感を記憶に留めている方もおられるでしょう。

歳を重ねるごとに、向き合う問いはページを繰るようなタイミングで答えを得られるものではなくなってきます。
解法を編み出せずに頭を抱えるとき、眼前にある問題は、さながら決して割ることのできない岩盤のようです。

ところが、何故かこんな巨石にも掘削者はいるのです。私の大学図書館就職一年目の上司はまさにそんな存在で、レファレンス(情報探索に関する相談)をクールに捌き、発見困難な海外文献も彼の眼には映り、更に自身の研究活動も進めて論文を出し続けている、すごいとしか表現できない人でした。

ある日の宴会の席で、そのすごさの秘訣は何ですかと尋ねたところ、
「自分なりにもがいて、またもがく。その時は、ちょうど山の隅っこをちょっと掘る感じです。あちこち掘り続けるうちに掘ったところが一周してつながって、いつの間にぐるぐる回りながら、全体を俯瞰できるようになりますよ」
という返事が返ってきたのでした。
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あの日から長い歳月が流れてもなお、もがいても掘ってもこれという答えに到達できず、すっきりしない日を過ごすこともあります。
そんな私だからなのか、今とても心を惹き寄せられているのが、今年1月に始めた館内展示「ブルーバックス」なのです。
テーブル上の大きな円柱の側面に引かれた、年の流れを表すゆるやかなカーブ線。その線に沿って、青い表紙でお馴染みの講談社ブルーバックスシリーズの表紙が配置されています。
自然科学分野の読み物と思いきや、『「分かりやすい説明」の技術』といった社会生活に密接したトピックのタイトルもあります。
円柱を右に左に眺めていると、あらゆる科学的な思考の素は時間軸の中で蓄積されて手元にあるということの気づきや、また「山を掘る」とはこうした思考を地道に身に着けることかもしれないといった思いなどが広がります。

皆さんはどのような気付きをされるでしょうか。図書館に来られたらぜひ、青の世界をぐるりと巡ってみてくださいね。

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ブルーバックスシリーズは、まだほんの少しですが電子ブックで読めるタイトルもあります。名工大の学生さんは、下記のMaruzen eBook Libraryからご利用ください。

学内の資料を使う | 名古屋工業大学図書館

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ブルーバックス展示(図書館1階新着図書紹介コーナー横)

ブルーバックス