名古屋工業大学図書館報「@Library」

「@Library」は、名古屋工業大学図書館のブログ版図書館報です。詳細は、http://profile.hatena.ne.jp/nitlib/ をご覧ください。

旅、そして鉄道

初夏の清々しく解放的な陽気に遠出したい気持ちもいよいよ高まりますが、相も変わらずお気に入りの旅番組で旅気分を味わっています。

“映像つきガイドブック”を標榜するその旅番組は、乗りたい列車や立ち寄りたい場所などをもとにプランを立て、時刻表片手にプランに基づいた映像を見ながら“妄想で”旅をします。

誰かが旅先を散策したり、おいしいものを食べたりするのを見るのとは違い(出演者による実際の旅の回もあるのですが)、人の目線による映像は、まさに自分が旅をしているかのような気分を演出してくれます。

妄想もなかなかの徹底ぶりで、例えばごはんを食べるにしても、出演者の皆さんが各人きっちりメニューを選び、食事を口に運ぶ動作をし、もぐもぐと口を動かしながら「出汁がきいていておいしい」などとコメントしたりもして、その様子が何度見てもなんだか可笑しくて。

ところで、この番組は旅以外にもう一つ鉄道がメインテーマになっていて、人々の日常の足となっている鉄道、地方のローカル鉄道に観光列車など、それぞれに魅力が詰まった列車をたくさん目にすることができます。

そんな中でしばしば耳にするのが、水戸岡鋭治さんのお名前です。水戸岡さんといえば、九州新幹線「つばめ」やJR九州が運行する豪華寝台列車「ななつ星in九州」のデザインをされた方というほどの知識しかなかったのですが、あれも水戸岡さん、これも水戸岡さんというぐらい、しかもそのどれもが思わず「わあ」と声を上げてしまうような、そんな心ひかれる列車を数多く手掛けられていることを、この番組で知りました。

外観のかっこよさにまず驚き、乗ってみてその豪華さ、特別感に再び感嘆の声が……。旅の高揚感がよりいっそうかき立てられます。どんな心地がするのだろうと、実際に乗ったときのことを思うと、またわくわくが止まりません。

こうした水戸岡さんの素敵なデザインを形作っているものに、その列車が走ることになる地域で調達される自然素材を使用していたり、伝統工芸を内装に用いたり、あるいはアートを配したりといったことがあります。電車という既存の枠にとらわれることのない、深く考え抜かれたデザインに多くの人が心を動かされ、旅はもちろん日常の移動でさえも、上質で豊かな空間と時間へと変わる。私にはまるで魔法のようにすら感じられます。

妄想旅を楽しんでいると、やはり実際に行ってみたくなります。

ああ、旅に出たい。

そんなささやかな希望を、今は日々の生きるエネルギーに変えて過ごしています。

 

 

****************

 

電車をデザインする仕事 : 「ななつ星in九州」のデザイナー水戸岡鋭治の流儀

 水戸岡鋭治著  日本能率協会マネジメントセンター  2013.11

 請求記号 : 536||Mi 62    図書ID : 1322743

 

旅するデザイン : 鉄道でめぐる九州 : 水戸岡鋭治のデザイン画集 

    水戸岡鋭治著    小学館   2007.6

    請求記号 : 536||Mi 62    図書ID : 1330608

 

デザイナー 水戸岡鋭治の仕事 : 列車は、走るビックリ箱(視聴覚資料)

 NHK出版企画・制作 NHKエンタープライズ 2011.9 

 請求記号:366.29||P 97 図書ID:6005103