橘田 直樹(学術情報課)
●アースダイバー
中沢新一 講談社 2005.5
請求記号:213.6||N 46 図書ID:1335038
「名工大アースダイビング」
名工大から東へ、吹上の方に歩いていくと、古い街並みの静かな住宅街がある。反対に、名工大から西へ、鶴舞公園を抜けると飲食店が多くなり、さらに歩くと大須商店街にたどり着く。国土地理院の発表している地図でこのあたりの標高を調べると、「吹上」が高くて、「鶴舞」に向かって徐々に低くなっていき、「大須」でまた少し高くなる。
もう少し視野を広げると、このあたりの地形は、あたかも岬の先端に熱田神宮があり、その岬がつくる入江の奥に名工大は位置しているように見える。熱田神宮の周りには、白鳥古墳や断夫山古墳のような大きな古墳があり、だんだん北に行くにつれ小さくなる。名工大にある一本松古墳は、その小さな古墳の一つである。路線図を見ながら地下鉄に乗っていると、このような地形を忘れがちになるが、実際に歩いてみると街と地形が密接に関連していることが分かる。
中沢新一『アースダイバー』には、縄文海進期において、現在よりも陸地の奥まで海水が侵入していたと記されている。そのことを、このあたりの地形に当てはめてみると、熱田神宮のある場所は本当に岬であり、名工大のある場所は本当に入江の奥であったのだろう。
工学的教養の一つとして都市空間の把握ということがあると思うが、由緒ある神社や寺院は特異な地形の場所に建てられている。古代に思いをはせながら大学の周りを散歩してみると、新たな発見があるのではないだろうか。
>>>散歩関連本(図書館で読める)
●路上観察学入門
赤瀬川原平、藤森照信、南伸坊編 筑摩書房 1993.12
請求記号:361.78||R 62 図書ID:6008263
●考現学
今和次郎 ドメス出版 1971.1
請求記号:380.8||Ko 71 図書ID:1101808
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