名古屋工業大学図書館報「@Library」

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教職員のおすすめ図書

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塩塚 理仁先生(生命・応用化学教育類ソフトマテリアル分野/准教授)

遅い光 (スローライト) と魔法の透明マント:
クローキング、テレポーテーション、メタマテリアルを実現した光の科学の最先端

シドニー・パーコウィッツ著 ; 阪本芳久訳 草思社  2014.5
請求記号:425||P 42 図書ID:1330059

英題は「SLOW LIGHT」ですが、
日本語タイトルには「魔法の透明マント」を訳者が加えています。
透明マントは、多くの大学生がハリーポッターを読んだ(見た)世代になり、
興味を持ってもらうための工夫でしょうか。
この本は、光学迷彩やテレポーテーションというSFの中の話と
物理の最先端研究との関係をまじめに扱っているところが面白いと思います。
数式がないメタマテリアルの入門書としてもお勧めです。

学生の「おすすめ図書」

f:id:nitlib:20161114091535j:plain(情報工学専攻/博士前期課程2年)

夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦著 角川書店  2006.11
請求記号:913.6||Mo 54 図書ID:1300994

論文や教科書など、現代文を読むことに疲れた方に非常にお勧めです。

この本は全編通して、古語風なとても綺麗な日本語で構成されています。

また、作者が学生時代に過ごした京都の情景がリアルに描かれており、

まるで自分が主人公となり京都の町を闊歩しているよう錯覚させてくれます。

忙しい日常に疲れた貴方。

この本でひと時の京都旅行を楽しんでみませんか?

千円札のあの人の『道草』

野口英世…ではなくて、その9つ年上の夏目漱石の作品を紹介します。
(千円札、10年くらい前までは夏目漱石だったんですよ!
平成生まれの学生さん、知ってますか!?)

漱石のイメージといえば「文豪」ですね。なんだか頑固で気難しい…。
漱石はそんな自分をモデルにして(していると言われている)
道草』という小説を書いています。

個人的に印象深いのは、
以下の漱石(小説の中では「健三」)と青年のやり取りです。


「『しかし他事じゃないね君。
 その実僕も青春時代を全く牢獄の裡で暮したのだから』
 青年は驚ろいた顔をした。
 『牢獄とは何です』
 『学校さ、それから図書館さ。考えると両方ともまあ牢獄のようなものだね』
 青年は答えなかった。
 『しかし僕がもし長い間の牢獄生活をつづけなければ、
 今日の僕は決して世の中に存在していないんだから仕方がない』
 健三の調子は半ば弁解的であった。
 半ば自嘲的であった。
 過去の牢獄生活の上に現在の自分を築き上げた彼は、
 その現在の自分の上に、是非とも未来の自分を築き上げなければならなかった。
 それが彼の方針であった。
 そうして彼から見ると正しい方針に違なかった。
 けれどもその方針によって前へ進んで行くのが、
 この時の彼には徒に老ゆるという結果より外に
 何物をも持ち来さないように見えた。
 『学問ばかりして死んでしまっても人間は詰らないね』
 『そんな事はありません』」
 夏目漱石『道草』青空文庫 より
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/783_14967.html


頑固で気難しい…どころじゃなく、自信がもてずに不安に苛まれています…。
最後の青年の言葉は、そう思いたいという漱石自身の言葉のようにも感じますね。
学問によって磨き鍛え上げてきた鎧も、実際の世間を前にして
紙っペラみたいに感じてしまうことが多かったのかもしれません。

学生のみなさんには学問の道をひたすら突き進み、
野口英世のような業績をあげていただきたいものですが、
たまには夏目漱石などのベタな小説を手にして道草をしてみてください。
たぶん答えは見つかりませんし、もやもやが残るだけかもしれません…。
ですが、なにかココロが揺らぐかもしれません。
きっとその経験は、自分や自分のまわりの世界を見る目を変えてくれるはずです。

ちなみに、漱石は今年2016年で没後100年ということらしく、
アンドロイド化するようです!?

漱石アンドロイド 特設サイト - 二松學舍大学http://www.nishogakusha-u.ac.jp/android/

生協学生委員 本紹介コーナー【テーマ:ノーベル賞】

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生協学生委員のみなさんによる本紹介コーナー
11月の新たな展示に合わせて、ブログ記事を書いてもらいました。

木々が葉を落とし始め、冬の訪れを感じる季節となりました。

生協学生委員会 本プロジェクトとして、図書館2階の棚をお借りし、
毎月テーマに沿った本の紹介コーナーを企画させていただいています。

今月11月のテーマは「ノーベル賞」です。

現在図書館1階にて、ノーベル賞に関する展示が行われています。
合わせてこちらのコーナーもご覧になっていいただければと思います。

今回のテーマはノーベル賞ということで、
ノーベル賞受賞者とその受賞に深く関わる本 に加え、
ノーベル賞の分野に関わらず、他分野からノーベル賞級の受賞者に関する本
を集めました。
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化学  フリッツ・ハーバー
    マリー・キュリー
物理学 赤崎勇,天野浩,中村修二
    ロアルド・ホフマン
    レオン・レーダーマン
建築学 安藤忠雄
    ザハ・ハディッド
経済学 アルビン・ロス
    ロイド・シャプレー

の4分野から、特に上記の受賞者に焦点を当て
ご紹介しました。
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この機会にこれまでの授賞の基となった考え、理論に
触られてはいかがでしょうか。
図書館にはさらに深い内容の本がありますので、
興味を持たれた方はぜひそちらの本もお読みになってみてください。
これからの学びに、これからの実生活に役立てられること間違いなしです。

寒い今の季節は、図書館やご自宅でゆっくりと本を読むのにぴったりです。
図書館に来られた際には、ぜひお立ち寄りください。

*本紹介コーナーは、図書館南館2階のステンドグラス前の棚に
設置されています。

青春18きっぷ

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秋もだいぶ過ぎましたが、秋は行楽シーズンでもありますね。
ご存知の方も多いかと思いますが、
青春18きっぷのお話に少しお付き合いください。

青春18きっぷは JR各社の普通・快速・新快速など、
乗車券のみで乗れる列車等(船など特別な場合あり)に
ある期間内、乗り降り自由な切符です。
お恥ずかしい話、私は何年か前まで
18歳までしか使えないものと勘違いしてました。

ネーミングの“青春18”は、企画当時の旅客局長だった須田さんが、
『青少年・学生をイメージした「青春」と、その象徴的な年齢で
「末広がりの8」にも通じる「18」を組み合わせた』(Wikipediaより)
とか。
だから発売・利用期間は学生の春休み・夏休み・冬休みの期間に
合わせているんだ、と納得。

一枚の切符で5回分の回数券方式なので、
自分だけで使うのもいいですが、私は5人で日帰り旅行を楽しんでいます。
新幹線や特急では通り過ぎてしまう、いつもは立ち寄らない駅に、
ふらり途中下車したり、
運賃を安くして、宿泊やレジャー、お土産を(多少)リッチに、
というのもいいですね。

私の周りの愛好家達は、
“日帰りでいかに遠くまで行けるか”に工夫を凝らしています。
ちなみに、友人のある強者は、愛知から九州の温泉へ日帰りをしたそうです。
(滞在時間2時間!でも、とてつもない達成感を味わったそうですよ)

近々の発売は今冬。
でも、寒いのが苦手な方は、
暖かい時季まで待った方がいいかもしれませんね。
発売期間は年によって若干違うので、初挑戦の方は特に、
きっぷの詳しい内容もあわせてJRのHPを確認されることをおすすめします。

教職員のおすすめ図書

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舟橋 健司先生(情報工学教育類メディア情報分野/准教授)

ソレマンの空間艇
石川英輔作 評論社 1993.7
請求記号:913.6||I 76 図書ID:1329784

本当は「少年少女21世紀のSF」シリーズ(金の星社)の
第4巻「超人間プラスX」を取り上げたかったのですが、
とうの昔に絶版なので現在も入手できそうな当時の第3巻を紹介します。
本書は児童向けのSF小説です。
子どもの頃にこのシリーズに出会い、夢中になって全10巻を読みました。
読書に興味を持った切っ掛けだったのではないかと思います。
大人になってから読むと当時の感動が思い出されるだけでなく、
また違った楽しみが得られます。
皆さんも、自身の子ども時代の思い出の本をもう一度
手に取ってみてはいかがですか。
思い当たらない方は本書を是非どうぞ。

大学での学び

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後期が始まりました。
長い夏季休暇の後、
まだエンジンのかかっていない人もいるかもしれません。
そんな時、気合を入れ直す あるいは 勘を取り戻すため、
改めて大学での学びに関する図書を読んでみませんか。

今回は図書館で働く学生さんにも、
これまでに利用したことのある図書を選んでもらいました。
それ以外にも、関連図書を集めて、図書館カウンター前にて
展示しています。
ぜひ一度お立ち寄りください。