名古屋工業大学図書館報「@Library」

「@Library」は、名古屋工業大学図書館のブログ版図書館報です。詳細は、http://profile.hatena.ne.jp/nitlib/ をご覧ください。

教職員の「おすすめ図書」

f:id:nitlib:20191205111329p:plain

山 裕 先生(電気・機械工学教育類 電気電子分野  電気・機械工学専攻 電気電子分野/准教授)

文学部唯野教授

筒井康隆 岩波書店 1990.1

請求記号:913.6||Ts 93 図書ID:1222769

    研究の醍醐味のひとつは、新しい学問領域を興こすことにある。そのための方法論として、哲学を学ぶことは非常に有用である。また、近年の人工知能の進歩に伴い、改めて哲学が注目されている。しかしながら哲学を学ぼうにも、その壮大な体系を前に立ちすくむことも多かろう。
 この小説は大学におけるドタバタ喜劇と唯野教授の講義のパートが入れ替わりでテンポ良く進んでいく。多数の脚注は哲学の体系のインデックスとして有用であり、唯野教授の瀟洒な解説とともに、哲学への足がかりを与えてくれる。
 私が現在取り組んでいる研究は、無線工学と電力工学の境界領域にある「無線電力伝送工学」の体系の確立である。このために、私が中学生の時に出会った本書をきっかけとして興味を持った哲学的な考え方は、確実に影響を及ぼしているのである。