名古屋工業大学附属図書館報「@Library」

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技術的特異点を迎え撃て!<図書館からのメッセージ>

内匠 逸 先生

附属図書館長 内匠 逸

 ご入学・ご進学、誠におめでとうございます。
あらたに学部に入学された皆さんは、工学エリートへのスタートラインに立ち、
大学院に進学された方々は、一層の専門性追求の段階に入ることになります。
どうか初心を忘れず自らの理想像を追い求めてください。

さて、工学の深淵を探求しようとする皆さんは、
第4次産業革命 (Industrie 4.0) や超スマート社会 (Society 5.0) という
近未来を象徴する言葉を耳にしているはずです。
味気ない表現としては、コンピュータによる社会の合理化を
一層推し進めることで、現代社会が直面する課題を解決できるという考えです。
もう少し味を付けると、サイバー空間の膨大な情報処理能力を
リアル空間のデータと融合させ、生産、流通、消費、交通、居住など
人々の生活を支える全ての社会活動が横断的で高い視点から
最適化された社会を実現することです。

超スマート社会実現へのキーワードとして、
IoT (Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能(AI)、セキュリティ
という言葉が飛び交っています。
これらはいずれも、かつて情報学の専門用語でしたが、
いまでは、工学あるいは社会の共通語になっています。
情報学はメタサイエンスの一つと言われ、工学・理学の全分野を支え、
加速させるために不可欠な学問になっています。
情報学の研究成果、知見や技法をうまく利用すると、
研究の進捗が速やかであったり、不要な試行の時間を節約できたりします。

第1次産業革命以降、社会の変革は工学の歴史です。
これからの超スマート社会を作り牽引するのは工学者となる皆さんです。
したがって、皆さんには自分の専門分野と並行して
情報学の基礎を学んで頂きたい。
早晩、人工知能が人間を超える技術的特異点、シンギュラリティの瞬間が
訪れます。
そのときこそ、人工知能を使いこなす情報学の智慧が必要となりますが、
さらに大切なものがあります。
それは皆さんにしかできない人工知能の使い方、目的です。
なかでも、新しい価値を生み出すことができるのは、
一人ひとりの専門分野における知識の社会への還元と
知識の深化を目的とする使い方ではないでしょうか。
いずれも、基礎的な確固たる専門知識と、
自らが積み上げた知見・発見の上にのみ成り立つものです。

附属図書館は、知識収集の場です。
設立以来、工学の専門図書を多数所蔵していますし、
電子ジャーナルというオンライン論文集も用意しています。
それぞれの専門領域における基礎から最新成果まで広く吸収できます。
また、能動学習の場でもあります。
基礎を充分に学びつつ、互いに切磋琢磨することで、
研究のための足腰を強固に鍛えて頂くことを期待しております。