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名古屋工業大学附属図書館報「@Library」

「@Library」は、名古屋工業大学附属図書館のブログ版図書館報です。詳細は、http://profile.hatena.ne.jp/nitlib/ をご覧ください。

教職員の「おすすめ図書」

オススメ図書

f:id:nitlib:20140520122633j:plain 柴野 翼 さん(国際企画室)

 

「科学の哲学」  野家啓一著 放送大学教育振興会 2004

  請求記号:401||N 92  図書ID:1292784

科学者の批判的態度、すなわち自分の意見を明確に述べ、それが反証されたなら潔く主張を撤回すること、これが科学研究を支えていると考えたのはウィーンの哲学者、カール・ポパーでした。

 

ポパーは、反証ができないような構造をもつ理論は非科学的であるといいます。たとえば「明日は雨が降るか、降らないかのいずれかである」という天気予報を考えてみましょう。このP or notPの構造をもつ文は論理学で排中律と呼ばれ、100%確実で誤りようのない予言です。したがってこの天気予報は反証のしようがありません。

 

これに対して「明日の午前中は晴れだが、昼は雨になる」という(普通の)天気予報であれば、もし午前中に雨が降ったり、昼に晴れていたりすれば明確に反証されたことになります。つまり先の不毛な予報に比べると、反証可能性が高まっているのです。反証可能性の上昇と同時に、情報量の増加が見て取れると思います。

 

「名工大生はリケジョか、リケジョでないかのいずれかである」という命題はどうでしょう? サンプルとして選んでみた名工大生が、体育会系男子でも文学少女でも誤りにはならないこの文に、情報価値はあるでしょうか。

 

さておき、排中律のように反証可能性をほとんどもたない仮説は、世界のあり方について何も語っておらず、ひいては非科学的であるとポパーは考えるのです。

 

野家啓一氏の『科学の哲学』は放送大学の教科書としてまとめられたもので、反証主義、帰納法、科学技術の倫理など、科学哲学のトピックが分かりやすく解説されています。科学について広く考えたいときにおすすめの一冊です。