名古屋工業大学図書館報「@Library」

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自炊のススメ(番外編) 身近な食品を調べる


先日、台湾のお土産として「愛玉子」(オーギョーチ)をもらいました。
現地ではポピュラーなSweetsで、黄金色のゼリーにレモンシロップをかけて食べます。
甘酸っぱくて冷たくて、これからの季節にピッタリの逸品です。
さて、もらったのは、ちょうど植物の「猫じゃらし」(正式名称:エノコログサ)
の実を一粒ずつむしって取ったような形状の細かい粒。
これをガーゼの袋に包んでいれて、砂糖を溶かした水の中でもんでいると、なにやらニュルニュルの液体が染み出してくる。
そしてその液体を常温で20分ぐらい放置すると、食べごろのゼリー状にプルプルに凝固します。
どうやって固まるのか? とっても気になったので、図書館にあるツールでいろいろ調べてみました。

その1 Googleで調べる (愛玉子とは何か?)
       ⇒Wikipediaにより粒は植物の種子でそこに含まれるペクチンにより固まることが判明。

その2 本で調べる(ペクチンとは何か?)
       ⇒ペクチンとは果実や野菜に含まれる植物の細胞膜を構成する要素。
       プロトペクチン⇒ペクチニン酸⇒ペクチン酸と果実が熟すに従い含有量が変わる。
       果物が熟すと柔らかくなるのはこれの仕組みによる。
       酸性溶液中に糖が存在するとゲル化する。(だから、甘酸っぱいゼリーだったんですね。)

その3 データベースで調べる(もっと詳しく知りたい!! これについての論文はないかな?)
       ⇒JDreamIIという日本語論文が検索できるデータベースを調べてみる。
       ”愛玉子””ペクチン”というキーワードと日本語という条件をを入れて検索。
       ⇒13件の論文がヒットし、抄録(論文の内容を要約したもの)を読んでみた。(・・・・難しい。)
       ⇒とりあえず本文のダウンロードができた。(13件中9件)

さて、一連の調べものをしていく過程で見つけた、私自身が「へぇ〜〜」と思った豆知識をいくつかご紹介します。
・カリカリ梅のカリカリ食感は「石灰」を利用して、ペクチンが可溶化するのを防止して生み出している。
・ペクチンで作ったゼリーの固さにはこれ専門の単位がある。⇒ペクチングレードという。
・ゼリー状になるのに酵素が作用していて、寒天のように熱を加えてしまうと固まらない。
身近なこともいろいろ調べていくとなかなか奥が深いものです。

南館2F@Libraryコーナーでは「食べ物」と題して、食品科学から食べ物の豆知識までの
図書・DVDを集めています。

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参考文献
食品 : そのサイエンス/ 高田英夫編 創元社,1990 498.5//Sh96
食品コロイド学/ 永沢信著 共立出版,1967 498.5//N22